キャプテンに就任した、前田の所信表明だった。
「グラウンドでは熱くなる監督だから。オレもシーズンに入れば、自分の中に入るタイプ。何でもかんでも、行儀よくじゃねえ…。チームはここ何年も低迷が続いている。何かを始めないと、何も変わらん」
前日のブラウン監督との会談で、キャプテン就任を告げられた。「オレとぶつかる時もあるよ」との前田の“宣戦布告”も、指揮官は「OKだ」と熱い姿勢を大歓迎した。
雨空のため、室内練習場に1軍ナインを集合させると、ブラウン監督はキャプテンに前田、黒田を任命すると発表した。3人で手を握り合うと、監督の「ALL―IN」の掛け声で、両者はナイン全員と握手を交わした。
ブラウン監督にとって、米国でも経験のないキャプテン制度。「監督、コーチはロッカーまで見れるわけじゃない。この形が最善だった」と説明。「黒田はおとなしいまじめなタイプ」と言う一方で、前田には「昔から下を向いて一生懸命、努力を重ねてきた」と評した。
2人キャプテン制には、両雄並び立たず―の危険もはらむ。まして、試合になれば、自らの闘いだけに集中してしまう孤高のバットマン。そのスタイルは時に、ナインの反発を呼んだこともあるが、そんな前田の性格もよく知った上で、あえて指名した。
「そろそろキャプテンをやってもいいころ。彼だって変わりたい、と思っている。彼は昔とは全然違うし、違う前田を私は見てみたい」
一般的な主将像の“まとめ役”は黒田に。自身と同じ熱い闘志を持つ前田に、闘う集団の先頭に立つことを求め、その相乗効果に期待した。
「現役時代から知っているのは僕ぐらい。オレに力を貸してくれ、と言われれば僕は信じてやるだけ。(主将)タイプじゃないし、変わったことをやるつもりもない。背中で引っ張るとか、漫画じゃないんだからやめてくれ。オレは変わらず黙々とやるだけ」。チームにも前田自身にも、大きな変革の年になる。
スポーツ


